TradFit、安佐医師会病院で戸田建設と音声アシスト病室の概念実証
掲載日:
生成AI(人工知能)コンサルティング事業などを展開するTradFit(トラッドフィット、東京・千代田区)は4月14日、戸田建設と、音声アシスト病室システムを構築し、安佐医師会病院(広島市)で2025年7月から10月にPOC(概念実証)を実施したと発表した。

音声アシスト病室システムは、アマゾンの施設向けAI音声アシスタントサービス「Alexa Smart Properties(アレクサ・スマート・プロパティー)」を活用し、病院内のテレビ、エアコン、照明の音声操作、入院患者と家族のTV電話を備えた。AIが、入院患者からの要望を院内ルールに沿うか、医療行為に当たるかを踏まえて判別し、応答する。戸田建設がトラッドフィットに委託し開発した。

具体的には、ユーザーが発した音声コマンドを「Alexa」を搭載したスマートスピーカーが認識し、スピーカー用のクラウドサービスで言語処理を行う。その後、クラウドから赤外線機器に制御信号が送られ、赤外線コマンドに変換・発信して対象の機器を操作する。
また、ユーザーが音声でTV電話を指示すると、スマートスピーカーがインターネットを経由して事前に設定した家族の機器を呼び出し、TV電話を開始する。さらに、ユーザーが発した質問や要望などをAIが判別し、スマートスピーカーが応答する。
両社は、広島市病院機構と安佐医師会病院の協力を得て、同病院の31の個室にスマートスピーカーを設置し、ニーズと利用状況の分析、AIの応答・発話対応の精度を検証した。
ニーズと利用状況の分析では、入院患者と医療従事者を対象に、アンケート調査やヒアリングを実施。同時に、設備機器の音声操作頻度などの利用データを収集し、稼働率向上に向けたニーズの抽出と追加機能を検討した。
AIの応答精度と発話対応精度の検証では、医療現場で頻繁に発生する医療行為以外の要望や、病院独自のルールへの質問に対し、AIが適切に応答できるかを確かめた。AIに追加学習を行い、有用性を検証しながら、看護スタッフの負担軽減につながる応答精度向上を図った。
実証の結果、利用状況データからスマートスピーカーによる照明やエアコンなどの設備操作が多く利用されていることがわかった。また、TV電話が、スタッフステーションと病室をつなぐ見守りカメラで活用されていることを確認した。
一方で、院内案内や医療行為判別を行うAIの使用率は低く、追加機能の説明や案内などの周知方法に改善の余地があることが明らかになった。AIの応答精度は、機器の設置位置や、発話者の声量・発音の個人差が認識精度に影響したことで約60%にとどまった。
今後は、PoCの検証結果を踏まえ、機能追加や音声操作技術、AIの応答認識や対応精度の向上に取り組む。また、独自技術として新規入札案件や既設病院への導入提案を進める。