シーメンス、AIとセンシング技術で高精度画像の撮影が可能な1.5TのMRI最上位モデル
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  ヘリウムフリーで1.5TのMRI「MAGNETOM Flow.Elite(マグネトム・フロー・エリート)」
シーメンスヘルスケア(東京・品川区)は11月4日、AI(人工知能)の画像再構成技術とセンシング技術で高精度な画像診断が可能なヘリウムフリーで1.5TのMRI(磁気共鳴画像装置)「MAGNETOM Flow.Elite(マグネトム・フロー・エリート)」を発売すると発表した。
「MAGNETOM Flow.Elite」は、同社の70cmワイドボアデザインを採用した1.5TのMRIの最上位モデル。AIを活用した画像再構成技術「Deep Resolve(ディープリゾルブ)を搭載しており、撮像時間を50%短縮しながら、空間分解能を倍増させた高精細な画像を記録できる。2D撮像に加え3D撮像にも対応する。
年齢、体型、症状など被検者の特性によらず、再現性が高く、ハイクオリティな画像を安定的に提供するハードウエア「BioMatrix Technology(バイオマトリクステクノロジー)を採用。コイルに内蔵された同期センサーが、呼吸パターンや心臓の動きを非接触で検出し、被検者の動きに同期したスキャンを行う。そのため、被検者やオペレーターによる画質の変化を大幅に低減し、安定した画像を撮影できる。
また、少ないデータから高品質な画像を再構成する圧縮センシング技術を時間方向にも拡張し、腹部や心臓といった動きのある臓器を撮像するためのデータサンプリング技術や独自の体動補正技術などを活用することで、従来複数回の息止めが必要だった造影ダイナミック検査や心臓MRI検査を自由呼吸下で行うことを可能にした。息止めの難しい被検者に対しても安定した検査を行える。
加えて、新設計のブランケットコイルで被検者の負担軽減を図ったほか、内蔵センサーでコイル位置を自動認識し、被検者の位置決めをワンタッチで完了できるようにすることで、レーザーライトの位置合わせの手順を不要にし、検査前の準備時間を削減した。
さらに、新設計のワイヤレス音響システムを頭頸(とうけい)部コイルに搭載。検査時のセットアップを容易にすると共に、撮像音や環境音を低減しながらオペレーターの声や音楽を被験者が聴きやすくした。ヘリウムの使用は、これまで超電導磁石の冷却に必要だった最大1500リットルの液体ヘリウム使用量を0.7リットルまで削減。冷却機構を完全密閉設計とすることで、装置の稼働やクエンチに伴う液体ヘリウムの再補充が不要なヘリウムフリー仕様に仕上げた。