フィリップス・ジャパン、AIで高機能化と効率化を実現したCT・MRIをITEM2025で紹介

「2025国際医用画像総合展(ITEM2025)」でのフィリップス・ジャパンのブース

フィリップス・ジャパン(東京・港区)は4月11日、パシフィコ横浜で開催された「2025国際医用画像総合展(ITEM2025)」に出展したブースのメディア向け説明会を開催した。説明会では、医療機器の最新モデルなどを始めとする医療ソリューションを紹介した。

注目されたのは、CT(コンピューター断層撮影装置)「CT5300」とMRI(磁気共鳴画像装置)「BlueSeal(ブルーシール)」だ。2つの機器ともにAI(人工知能)技術を導入し、機能の充実と検査業務の効率化を図った。

AI技術をハードとソフトで導入したCT「CT5300」
AI技術を導入したCT「CT5300」

「CT5300」は、AI技術を搭載したプレミアム装置。AIで検査の準備から撮影、画像再構成、後処理までのワークフローを効率的に行える「CT Smart Workflow(シーティー・スマート・ワークフロー)」を採用した。

AIカメラが検査を受ける患者の寝台上のポジショニングを読み取る
AIカメラが検査を受ける患者の寝台上のポジショニングを読み取る

主な機能として、「準備」では、AIカメラで、検査を受ける患者の寝台上の位置決めを素早く、正確に行う「Precise position(プレサイズ・ポジション)」を備えた。患者が寝台に上がると、ポジショニングに必要な13カ所の解剖的位置を特定し、最適な位置決めを自動的に行う。

「画像再構成」では、AIを活用した画像再構成機能「Precise Image(プレサイス・イメージ)」を搭載した。ディープラーニング(深層学習)を活用したニューラルネットワークを画像再構成プロセスに採用することで、放射線量が80%、ノイズは85%を低減し、60%の低コントラスト検出能の向上を可能にした。価格は従来機よりも抑えたという。

草山裕介・フィリップス・ジャパン・プレシジョンダイアグノシス事業部CTビジネスマーケティングスペシャリスト
草山裕介・フィリップス・ジャパン・プレシジョンダイアグノシス事業部CTビジネスマーケティングスペシャリスト

草山裕介・プレシジョンダイアグノシス事業部CTビジネスマーケティングスペシャリストは「CTは機能が変わらないと思われているが、AIでまだまだ進化して差別化できる。また、『CT5300』の高機能で効率化を実現できてコストパフォーマンスが高いモデルという特長を生かして、旧来機のリプレースで需要を開拓していく」と意気込む。

ヘリウムフリーと消費電力削減、AI機能を搭載したMRI「BlueSeal(ブルーシール)」
ヘリウムフリーと消費電力削減、AI機能を搭載したMRI「BlueSeal(ブルーシール)」

一方、MRI「BlueSeal」は、ヘリウムフリーと消費電力削減を図った1.5TのMRIだ。

7リットルのヘリウムで安定した超電導を可能にした「BlueSeal(ブルーシール)マグネット」
7リットルのヘリウムで安定した超電導を可能にした「BlueSeal(ブルーシール)マグネット」

7リットルのヘリウムで安定した超電導状態を維持する「BlueSealマグネット」を採用。継続的に必要とされていたヘリウムの補充を不要にした。また、消費電力削減機能「PowerSave+」を搭載することで、年間100~120万円の電気代の削減を可能にした。

「SmartSpeed Precise」は2つのAIで高速化と高画質化を可能にした
「SmartSpeed Precise」は2つのAIで高速化と高画質化を可能にした

目玉となるAI機能の1つ目は、「SmartSpeed Precise(スマートスピード・プレサイズ)」。高速撮像AIと再構成AIエンジンを統合した「Dual AI engine(デュアル・エーアイ・エンジン)」で、高速化と高画質化を両立させる高速撮影技術で、撮像時間を67%短縮しながら80%以上の高精細化を実現した。

2つ目が、「AI-based predictive maintenance(エーアイベースド・プレディクティブ・メンテナンス)」。AIが500項目以上のMRIのシステムパラメータをリモートで常時モニタリングし、故障の兆候を事前に検知して対応する。

さらに、撮影したMRI画像の医学的なチェックを行い、クラウド型の読影支援ソフトウエアに転送する機能「SmartReading(スマートリーディング)」も搭載した。

読影支援ソフトに診療ガイドライン準拠の画像を送信する「SmartReading(スマートリーディング)
読影支援ソフトに診療ガイドライン準拠の画像を送信する「SmartReading(スマートリーディング)

撮像前にプロトコルを自動でチェックし、撮像条件の変更による定量情報への影響を回避するとともに、常に最新の診療ガイドラインに準拠した撮像ができる。撮像後は、連携した読影支援ソフトウエアにデータを送信する。解析後は、その結果をPACS(医用画像管理システム)と、MRIの操作コンソールに送信し保存する。

「高画質・高精細な画像の取得と、検査スピードの向上が図れる機器。これまでMRIが2台必要だった病院が1台で済むようになる。また、MRIはリース、ソフトはサブスクといった病院ごとに提供方法を柔軟に対応することが可能で、導入のハードルを下げている」。廣瀬加世子・プレシジョンダイアグノシス事業部MRビジネスマーケティングスペシャリストは、「BlueSeal」の強みを、こう強調した。