NEC、国立健康危機管理研究機構とAI活用した医師の電子カルテ操作支援技術を開発
掲載日:
NECは11月21日、国立健康危機管理研究機構(東京・新宿区)と、AI(人工知能)を活用した医師の電子カルテ操作支援技術を開発したと発表した。両者が行った有効性の評価では電子カルテ操作のマウス操作時間を約84%削減することを確認した。

開発した操作支援技術は、医師の電子カルテ操作ログをAIが分析し、次に実行すると予測した操作の候補を、電子カルテの画面上にタイル形式で表示する。一連の操作を自然言語の文脈のように処理することで、操作の前後の関係性を学習するAIの深層学習モデル「Transformer(トランスファー)」を利用した。モデルは、文章の単語間の関係性を捉える機能を持ち、離れた単語同士の関係も理解する。
NECでは、国立健康危機管理研究機構で技術の有効の評価を実施。同機構の国立国際医療センターが保有する過去2年分の電子カルテ操作ログを分析し、ユーザーに最適な操作候補メニューをAIモデルで予測し評価環境の電子カルテ画面上に表示した場合の操作時間を算出。技術の利用有無でユーザーの電子カルテ操作時間や内容を比較し、業務効率化を評価しした。その結果、ユーザーの思考に沿った操作候補が提示されることで電子カルテ操作に伴うマウスの操作時間が約84%減少したことを確かめた。
NECは今後、開発した技術を電子カルテシステム「MegaOak/iS(メガオークアイエス)」への実装を目指す。また、病名や診療科などの情報も参照可能にして予測精度も向上させる。同時に、国立健康危機管理研究機構と研究を進め、場所や入力インターフェースの制約を受けない電子カルテの開発を進める。