日本IBM、電子カルテ「CIS」にAIが医療書類を自動作成する拡張機能追加
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日本IBMは7月17日、電子カルテ「IBM Clinical Information System(CIS、クリニカル・インフォメーション・システム)」で、生成AI(人工知能)や音声認識AIで記録や医療文書を自動作成する拡張機能「病院業務支援AIソリューション」を開発し、第一弾で退院サマリーの自動作成機能」の提供を開始すると発表した。

「病院業務支援AIソリューション」は、CISとのシームレス連携やマルチ生成AIプラットホーム対応が特長。CISとの連携では、CISから医療情報のデータ連携の国際標準規格「HL7 FHIR」の形式で取得した、患者のカルテなどの情報を基に医療文書を自動生成する。

作成された文書は、CISのクライアントを通じて直接CISに取り込むことが可能。CISへの取り込みは、医療従事者が確認が必要な設計で、医師や看護師が適切に確認と修正した内容だけを保存できるようにした。
マルチ生成AIプラットホーム対応では、IBMの「watsonx」のほか、マイクロソフトの「Azure OpenAI(アジュール・オープンエーアイ)」、アマゾン・ドットコムの「Bedrock(ベッドロック)」といった生成AIプラットホームで稼働が可能。医療機関は自院の要件や予算、セキュリティーポリシー(方針)に応じて最適な生成AIプラットホームが選択できる。
クラウド環境だけでなく、オンプレミス環境での利用も可能で、患者情報の機密性を重視する医療機関や、独自のセキュリティーポリシーを持つ医療機関のニーズにも対応した。
日本IBMでは医療機関と実証を行い、医療従事者の記録業務時間の短縮効果を確かめられたとして「CIS」の追加機能でサービスを開始することにした。「CIS」は、7月現在で全国61の病院が導入する。
まずは退院サマリーの自動作成機能を提供する。今後は、医療カンファレンス、インフォームド・コンセント、外来診療記録の音声から、それぞれのサマリーをまとめた文章を作成する機能や、生成AIを活用した看護記録の作成機能も予定する。各機能は開発を進めており、医療機関で検証した後、順次提供を開始する。