日本医師会、自民、公明、日本維新の会が合意の「医療DX加速化」の見解発表

日本医師会は6月9日、自民党、公明党、日本維新の会が6月6日に実務者間で合意した「持続可能な社会保障制度のための改革断行と現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減」の見解を発表した。

日本医師会では、合意内容の「医療DXの加速化」「病床再編の拡大」ついて基本的に賛同する一方で、十分な配慮が必要な点を要望した。

「医療DXの加速化」では、医師会が、これまで医療DXの加速化による医療の質向上と現場の負担軽減に賛同し協力してきたとする一方で、電子カルテ導入の義務化は賛同できないと表明した。

理由として、2025年4~5月に紙カルテを利用中の診療所に対し行った調査で「導入費用が高額で負担できない」などが要因で電子カルテの導入が不可能という回答が、約5400件と全体の5割強を占めたことを挙げている。また、こうした医療機関に電子カルテを強要することが、医師に医療からの撤退を促し、確実に地域医療の崩壊につながる懸念も理由としている。

その上で、電子カルテの導入では、まず導入・維持費用の低減と十分な補助の実現を強く要望した。一方、調査では国が開発中の標準型電子カルテを何らかの形で導入したいという回答も3割強あったとして、導入や更新がしやすい電子カルテを現場は期待しており、導入を希望する医療機関ができる限り導入しやすくなるな財政支援も強く要望すると加えた。

「病床再編の拡大」では、2024年度の補正予算の病床数適正化支援事業で5万床を超える申請があったことを踏まえ、ニーズに応えるものと理解し、前向きに評価しているとの考えを示した。具体的には、実情調査を行い、地域の医療ニーズを踏まえた上で、病床数の適正化に当たり必要な支援が行われると受け止めているとした。

ただ、病床数の適正化を進めす際は、丁寧な意見を聞き取りと、病床数適正化支援事業の対象外となった4万数千床の病床を優先的な支援の対象にする配慮を求めるとした。