ユカリア、昭和大学と電子カルテ由来の医療データ活用し既存医薬品の課題発掘

ユカリア(東京・千代田区)は8月9日、昭和大学と、電子カルテ由来の医療データを格納したリポジトリ(格納場所)「ユカリアデータレイク」を使用し、既存の医薬品の課題を発掘する共同研究を5月から開始したと発表した。

共同研究では、「ユカリアデータレイク」の電子カルテ内の「患者の訴え」「医師・薬剤師・看護師などの医療者の所見」「ヒヤリハットなどのインシデントレポート」といったテキストデータと、医療情報の組み合わせて分析することで、医薬品の飲み込みにくさ・使いにくさや、医療安全の観点から見た医薬品自体の課題などのニーズを網羅的に抽出し、既存の医薬品の付加価値向上につなげることで製薬企業の医薬品開発に役立てる。「ユカリアデータレイク」の分析は昭和大学薬学部病院薬剤学講座の百賢二准教授が行う。

「データレイク」は、大量の構造化データ、半構造化データ、非構造化データを保存、処理、保護するための、一元化された格納場所を指す。「ユカリアデータレイク」は、定量的なデータだけでなく定性的なテキストデータを分析に利用できるのが特長。医師の診察時の所見記録や、病棟で患者に長時間接してケアを行う看護師の看護記録など大量の定性情報から、患者の治療実態を多角的に把握できる。

また、最長10年程度に渡って患者一人の症状の変遷を参照することも可能。データ提供元の病院群は、急性期から回復期、慢性期、療養まで幅広い機能を持つ市中の病院のため、継続的に通院する患者も多く、長期間の治療経過観察が行えるという。