ユカリア、熊本大と電子カルテデータ活用の心不全発症予測モデル共同研究

病院の経営支援などを手掛けるユカリア(東京・千代田区)は8月7日、熊本大学と、自然言語処理を活用した電子カルテ記載の構造化に基づく疾患予測モデル検討の共同研究契約を締結したと発表した。

研究ではユカリアのデータ分析技術を活用し、熊本大学の熊本大学病院が保有する電子カルテのテキストデータから心不全発症に関わる因子を抽出。NER(固有表現抽出)モデルを使って、電子カルテの医師所見や看護記録などを統計的な分析の対象とするための構造化データへ変換する。同時に、構造化されたテキストデータを活用して、心不全発症予測モデルの精度向上に取り組む。2024年8月1日から2025年3月31日まで実施する。

2者によると、これまで心不全などの循環器疾患の発症予測モデル研究で、電子カルテに記載された病名や処方、血液検査、生理検査などの構造化データを、機械学習を用いて解析が行われてきたが、医師による診察時の所見記録や、看護師の看護記録といったテキストデータは構造化されておらず解析が困難なため、研究には利用されていないという。

そこで、今回の研究を通じて、自然言語処理技術を活用した電子カルテデータの構造化を進め、精度の高い疾患予測モデルの開発と、医療現場での診療の質向上につなげるとしている。