エニシア、電子カルテ情報から薬剤投与履歴を視覚化するシステムで特許取得
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京大発ベンチャーで医療向けAI(人工知能)ソフトウェア開発のエニシア(京都市)は11月18日、電子カルテから取得した薬剤処方情報を自動解析し、投薬量の変化と症状の記録を時系列で可視化するシステム「薬剤投与履歴の視覚化システム」で特許を取得したと発表した。

システムは、電子カルテに記録された処方内容から、薬剤ごとの有効成分量を自動的に算出し、日ごとの投薬量の変化をグラフで表示。そのため、治療中の増量や減量、中止の判断が行われたタイミングを明確に捉えられる。
また、投薬量に変化が生じた日をシステムが自動で特定し、当日の電子カルテで症状の変化、副作用の発現、医師の判断意図などの記録をひもづけて表示する機能も搭載。投薬変更の背景にある臨床的判断を、カルテ全文をさかのぼって探すことなく把握できる。
さらに、投薬推移と症状メモを統合した画面表示機能で、医師だけではなく、看護師、薬剤師、リハビリ職、在宅医療チームなど、異なる専門職間でも治療経過を直感的に共有できるようにした。地域連携や多職種カンファレンスで、患者の状態の共通理解に役立つという。
同社では、システムを活用することで、紹介診療や地域医療連携、在宅医療など、複数の医療者が関わる場面で、短時間で治療経過の共有が可能になるほか、カンファレンスや多職種協働の共通理解が容易になり、治療方針の検討やケアプラン作成で質とスピードが向上するとしている。また、投薬量推移と症状変動の対応関係をデータで扱えるため、リアルワールドデータ(RWD)解析や副作用検討、予後予測モデルなどの研究・開発基盤での活用も見込んでいる。