NTTドコモビジネス、秘密分散技術で医療データなどを安全保存するクラウドストレージ
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NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)は7月2日、秘密分散技術を利用し、地理的に離れた国内3拠点(北海道、東京、大阪)にデータを分散保存することで安全性を確保するクラウドストレージサービス「析秘(せきひ)STORAGE」の提供を開始すると発表した。医療機関や企業のBCP(事業継続計画)対策や機微なデータ保全での利用を見込む。


サービスで採用した「秘密分散技術」は、情報を3つの断片データに分割し暗号化する技術。NTTが開発した。元の情報の復元は2つの断片データを合わせることで可能で、単体の断片データでは復元はできない。3つの断片データは北海道、東京、大阪の拠点に設置したストレージサーバーに保管する。1つの拠点が災害などで停止してもリアルタイムで復元が可能という。

ウェブインターフェースを採用しており、ファイルストレージのように、ドラックアンドドロップなど直感的に操作が可能。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のストレージサービス「Amazon S3」に互換のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)も用意する。ストレージからデータを復元する利用を想定し、データのダウンロード転送に利用料がかからない料金体系を導入した。
NTTドコモビジネスでは、医療分野の活用で「病理画像のアーカイブ」や「電子カルテデータのバックアップ」といった利用を想定。

「病理画像のアーカイブ」は、大容量の病理画像ファイルのバックアップストレージで活用することで、オンプレミスの大規模ストレージ運用を行うことなく、大容量かつ機微情報の病理画像を安全で安価にアーカイブできるという。

「電子カルテデータのバックアップ」では、大量の小容量ファイルで構成される「SS-MIX2形式」の電子カルテデータのバックアップストレージとして使用することで、災害などで院内システムに障害が発生した場合でも遠隔地に保存した断片データから元データを迅速に復元と参照ができるようになるとしている。
サービスは利用するストレージ種別、実装方式で「標準ストレージプラン(フルクラウドモデル)」「標準ストレージプラン(ハイブリッドモデル)」「アーカイブプラン(フルクラウドモデル)」「アーカイブプラン(ハイブリッドモデル)」アーカイブプラン(フルクラウドモデル)」「アーカイブプラン(ハイブリッドモデル)」の4つの料金プランを用意した。

「標準ストレージモデル」は、ダウンロード速度が速いプラン、「アーカイブモデル」は容量あたりの価格が安価なプラン。また「フルクラウドモデル」はデータを全てクラウドに保管するモデル、「ハイブリッドモデル」は1拠点をユーザー環境にオンプレミスで構築するモデルになる。
料金は「標準ストレージプラン(フルクラウドモデル)」が月額のGB単価が税抜き360円、「標準ストレージプラン(ハイブリッドモデル)」が240円、アーカイブプラン(フルクラウドモデル)」が3.9円、「アーカイブプラン(ハイブリッドモデル)」は2.7円。4プラン共に初期費用が100万円かかる。
櫻井陽一・NTTドコモビジネス ビジネスソリューション本部スマートワールドビジネス部スマートヘルスケア推進室担当部長は説明会で「医療情報の安全な管理と、医療機関の事業継続が可能なサービス。データ取得や転送に課金されない安価な料金体系は他社には強み」と強調した。