丸紅I-DIGIOHD、UV&CとAI-OCRが医療文書データ化と情報抽出効率化の有効性を実証

丸紅のICT(情報通信技術)事業会社グループの丸紅I-DIGIOホールディングス(HD、東京・文京区)は6月19日、医療デジタルプラットホーム運営スタートアップのUnited Vision & Company(UV&C、ユナイテッド・ビジョン&カンパニー、福岡市)と、AI-OCR(人工知能を使った光学式文字読み取り)を活用した医療文書のデータ化と情報抽出の効率化の実証実験を実施したと発表した。

実証実験は、医療現場で取り扱われる手書き文書を含む医療文書に対して、AI技術を活用したデータ化と情報分類の実現可能性を検証した。対象文書は、健康診断個人票、フェイスシート、診療情報提供書、検査結果報告書、薬剤情報提供書の5種類。

これらの文書に記載された情報を自動で抽出と分類する処理フローの構築。OCRエンジンで文字認識処理と、自然言語処理モデルを使った情報の構造化と分類処理を組み合わせることで、異なる文書フォーマットの対応力、手書き文字の認識精度、抽出情報の一貫性と正確性を、実運用を想定した評価を実施した。実証は2024年12月から2025年2月の約3カ月間で行った。

実証の結果、丸紅I-DIGIOとUV&Cでは、医療・介護現場で日常的に扱われる複数種類の医療文書に対し、OCRと生成系AI技術を組み合わせることで、従来手作業に依存していた医療情報のデータ化と分類作業を、異なるフォーマット間でも柔軟で効率的に実現できることが分かった。

特に、最新の自然言語処理モデルを活用することで、「患者基本情報」や「病歴情報」の抽出で高い精度が得られ、医療文書作成や情報整理の作業時間削減の実用性を確認できたとう。

また、医療文書の作成日をフックとして現病歴情報を時系列で整理するアプローチについても手がかりを得られた。そのため、患者の症状出現から現在に至る経過を要約や把握する支援ツールとしての発展可能性も確かめた。

2社は、実証成果を基に実装の要求定義の策定を完了しており、現在は要件定義フェーズ移行している。今後は、要件の確定と並行し開発プロジェクトを本格化。医療・介護現場での実運用を見据えた商用化を推進する考え。