杏林大、Apple Watch活用した心房細動の新たな治療研究を開始
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杏林大が調査研究で使用する「Apple Watch Series 10」と研究用アプリ
杏林大学(東京・三鷹市)は8月6日、医学部循環器内科教室の副島京子教授と毛利崇人助教がカテーテルアブレーションを受ける患者を対象に、米アップルのスマートウオッチ「Apple Watch(アップルウオッチ)」で、治療前後の運動耐容能や睡眠の質、生活の質(QOL)、心機能の変化などを観察する調査研究を開始したと発表した。
杏林大によると、心房細動は最も頻度の高い不整脈で、放置すると脳梗塞や心不全、認知症につながるため、早期発見、早期治療が重要という。
その上で、最近では心房細動の治療は、アブレーション(経皮的心筋焼灼術)や抗不整脈薬など心臓の調律を整えるリズムコントロール、脈を落ち着けるレートコントロール、血栓を予防する抗凝固療法に加え、飲酒、喫煙、日常の運動や睡眠などの生活習慣改善や合併疾患のコントロールが重要視されている。しかし、患者の日常生活を正確に把握し、改善指導が困難だったとしている。
一方で、これまでの研究でApple Watchなどのウエアラブル機器で早期に心房細動を発見することが非常に有効と分かっているといい、今回、Apple Watchを利用して心房細動治療の新たな研究に取り組むことにした。調査では、米アップルが研究アプリ開発のためにApple Watchと研究アプリテンプレートへのアクセスを提供した。
調査は参加者がApple Watchの「Series 10」を使用して実施する。Apple Watchのヘルスケア機能を利用し、運動、歩行速度、消費カロリー、睡眠状態を追跡する。また、追加機能で、不規則な心拍リズム、高心拍数と低心拍数、低心機能、血中酸素濃度の測定の検出結果も活用する。
杏林大では、心電図と心肺運動負荷検査はこれまで医療機関で行われているが、今回の調査を通じて、ウエアラブル機器の測定値が結果と一致すれば、将来の心不全患者を管理する上で非常に重要な研究になると説明している。