カケハシ、PHRで病院と薬局が連携し、がんと心不全の患者をフォローする実証事業

ヘルステックスタートアップのカケハシ(東京・港区)は10月3日、経済産業省のPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を利活用する実証調査事業に採択されたと発表した。がんと心不全の患者を対象に、患者ごとのPHRを薬局が取得し、その情報を医療機関と連携して患者をフォローする実証を実施する。

今回、2024年度の「医療機関におけるPHR利活用推進等に向けた実証調査事業」に選定された。事業では、がんと心不全の患者を対象に、副作用の重篤化や疾患の再増悪の予防で、医療機関と連携した患者モニタリングとフォローのユースケースを創出する。

具体的には、同社の患者フォローシステム「PocketMusubi(ポケットムスビ)」を使用し、薬局が患者の副作用や体重の変動、服薬状況など個別化されたPHRを取得し、病院と連携することで、患者に対し、適切なフォローを行い、治療効果の最大化を目指す。

「Pocket Musubi」は、処方状況に応じた質問をシステムから患者に送信し、回答から副作用や疾患の再増悪などの可能性が検知された場合は、薬局薬剤師に通知することで、服薬期間中のフォローを効率的に支援できる。この仕組みで得た患者の情報を基に、病院と連携する機能を備えており、医師の治療方針の検討に役立てられる。

実証で実施する4つのフィールド
実証で実施する4つのフィールド

実証は、埼玉医科大学国際医療センター、自治医科大学附属病院、聖隷浜松病院、浜松医療センター、倉敷中央病院が、それぞれ中心となり、病院や複数の薬局とコンソーシアムを組成し、4つのフィールドを設けて行う。

カケハシでは、日本人の死因は、がんと、心不全を含む心疾患が上位を占めるとしており、これらの疾患に対する治療効果を今回のスキームによって高めることで、健康寿命の延伸が図れるとみている。また、病院と薬局間の連携が強化されることで、医療従事者に過剰な負担をかけることなく、患者フォローの効率化と質の向上に寄与できるとしている。