NEC、東京科学大と患者中心の医療・ヘルスケア創出のための医療データ流通基盤を構築
掲載日:

バーチャル医療・ヘルスケアシステム」に携わるNECと東京科学大学の関係者
NECは7月23日、東京科学大学と、患者中心の医療とヘルスケアサービス創出を目指した仮想空間上の医療関連データ流通基盤「バーチャル医療・ヘルスケアシステム」の構築で協定を結び研究開発を開始したと発表した。
NECと東京医科歯科大学(現・東京科学大学)は2020年に、ヘルスケア領域での新サービス事業の創出・推進で連携協定を締結し、一人ひとりの健康状態に合わせた身体のケアサービスを提供するヘルスケアサービス「NECカラダケア」の運営や、AI(人工知能)を使った慢性腰痛のセルフケア支援技術開発などを行ってきた。
今回、連携を強化し、NECが持つ最先端AI技術や医療情報システム構築、サービス提供ノウハウと、東京科学大学の医療・ヘルスケアの知識や工学的知識を融合し、バーチャル医療・ヘルスケアシステムを構築することにした。

具体的には、病院内外に存在する医療・ヘルスケア情報の容易なアクセスと安全な情報共有を実現するデータ基盤、データ収集用機器の開発などを行う。患者向けにメタバースコミュニティーも提供する。将来的には、蓄積したデータを製薬企業や医療関連のセンサー開発企業などに提供する事業も検討する。
両者はシステムを通じて、予防医療から急性期、慢性期、介護までをシームレスにつないだ疾患ごとに異なる患者中心のサービスや、医療従事者の能力を十分に発揮できる業務環境の実現を目指す。
取り組みを推進するための共創コミュニティーも2025年度内に立ち上げる。医療関連の研究者やスタートアップに、研究フィールドや企業とのパートナリング、市場・顧客へのアクセス機会を提供するなど、効率的な事業参入を支援する環境を整備。
コミュニティーでは、「NECカラダケア」や、東京科学大学とALSOK、エヌジェイアイが出資し設立した慢性期医療・介護サービスの研究フィールドを提供する科学的看護・介護研究機構(カガクル)などを通して、両者が取り組む既存サービスの高度化や、医療的ケア児や難病患者向けサービスの提供とデータ収集、活用を進める。また、事業性を見極めながら、新しいテーマや領域にも取り組む。