NECソリューションイノベータ、健康診断結果から11種類の疾患リスク予測するAI

NECソリューションイノベータ(東京・江東区)は12月6日、倉敷中央病院と共同執筆した健康診断の結果から複数の疾患リスクを同時に予測するAI(人工知能)を開発した。

開発したのは、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、動脈硬化、急性心筋梗塞などの生活習慣病が4年以内に発症するリスクを予測するAI。予測データは倉敷中央病院が持つカルテと、倉敷中央病院付属予防医療プラザが保有する健康診断の情報を使用した。

具体的には、2012年~2022年に予防医療プラザで健康診断を受診した9万2174名を解析対象に、受診者の50%を学習、25%を一次評価、25%を最終評価のデータとしてランダムに抽出し利用。健康診断と疾患の診断までの追跡期間に、死亡、疾患の発生など特定の事象が起こるまでの時間を分析し、その事象に影響を与える変数(共変量)の影響を評価する統計モデル「Cox比例ハザードモデル」を適応し、予測AIを作成した。

NECソリューションイノベータでは、4年以内の生活習慣病の発症リスクに対するAUC(エリア・アンダー・ザ・カーブ、曲線下面積)で、予測モデルを評価。

その結果、予測AIが導き出した疾患発症リスクのうち、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心房細動、急性心筋梗塞、心不全、動脈硬化、脳梗塞、アルコール性肝疾患、肝線維症、肝硬変、慢性腎臓病の11種類の生活習慣病で、4年以内の発症リスクのAUCが0.7以上の精度を確認した。また、予測AIの研究論文が学術誌「AJPM Focus」に掲載された。

予測AIは、NECソリューションイノベータの「NEC健診結果予測シミュレーション」に疾患発症リスク予測機能で、すでに搭載されている。NECソリューションイノベータと倉敷中央病院は今後、予測AIを活用し、健康状態を理解し、疾患の発症前に個人の健康状態に応じた検査の推奨や、生活習慣の改善策を提案するオーダーメードヘルスケアの提供を目指す。