ヘルスケアIoT市場は2032年に91兆9161億円まで急成長、米パノラマデータ調査

市場調査レポートやリサーチサービスを提供する、米パノラマデータインサイトは8月15日、世界のヘルスケアIoT(モノのインターネット)市場調査結果を発表した。それによると、市場の収益は2024年の1920億ドル(約28兆2566億4000万円)から、2032年には6246億ドル(約91兆9161億3600万円)に成長すると予測する。

「IoT」は、データ交換を可能にする接続性を持つ物理デバイスのネットワーク。ヘルスケア分野では、データ収集や電子健康記録の監視、個人識別情報や保護された健康情報の管理に活用されており、患者の治療結果を向上させ、医療従事者の負担を軽減する役割を果たしている。

パノラマデータインサイトでは、予測期間中の年平均成長率(CAGR)が14%に達し、ウエアラブル機器の採用増加がIoT市場の成長を大きく後押しすると分析。センサー技術とAI(人工知能)の進歩が、小型機器を利用した慢性疾患の管理と重大な疾病予防を可能にし、フィットネストラッカーやスマートウオッチの出荷台数が増加していることに言及している。

同社では、市場の課題で、データのプライバシーやセキュリティーリスクを挙げている。医療でのIoT利用は、患者の個人情報や健康情報を保護する必要があり、データ漏えいのリスクを抱えることから、セキュリティー強化が市場成長の鍵になるとみている。

今後の市場について、属性別にみると、2023年時点では医療機器が市場をけん引するものの、予測期間中にはシステムやソフトウエアも市場成長を後押しする。地域別では、特にインドや中国、韓国など、アジア太平洋地域が市場をリードする一方、今後は北米地域も市場成長を支える重要な地域になると予測する。

レポートでは、デバイス、埋め込みセンサーデバイス、ウエアラブルセンサーデバイスといったコンポーネント別の調査結果のほか、利用方法別(患者モニタリング、臨床業務とワークフローの最適化、臨床画像、フィットネスとウェルネス測定、医薬品開発)、エンドユーザー別(医療従事者、患者、医療費支払者、臨床研究機関(CRO)、研究機関(バイオ、製薬、政府機関)のデータを扱っている。