世界の医療シミュレーション市場は2032年で1兆2086億円に拡大、米パノラマデータ調査

市場調査レポートやリサーチサービスを提供する、米パノラマデータインサイトは8月14日、世界の医療シミュレーション市場の調査結果を発表した。それによると、市場は2024年から2032年にかけて、25億966万ドル(約3688億4473万円)から、82億2595万ドル(約1兆2086億3883万円)に急成長すると予測している。

「医療シミュレーション」は、患者シミュレーターや外科手術シミュレーター、血管内シミュレーターなど、解剖学的モデルを使用することでリアルな医療模擬訓練を可能とする手法。医療従事者の教育と訓練などを目的に病院や学校で広く使用されている。

パノラマデータインサイトでは、予測期間中の年平均成長率(CAGR)は14.1%で、医療教育と訓練の革新が市場を後押しすると分析。市場をけん引する要因として、高度な技術が求められる外科手術シミュレーション需要の高まりといった、精度の高い侵襲的介入のニーズを挙げている。

また、市場機会としてAR(拡張現実)とVR(仮想現実)技術の台頭に言及。こうした技術が、外科手術や静脈注射などのトレーニングをよりリアルでインタラクティブ(相互作用的)に行えることを可能にするほか、手術のナビゲーションやリハビリテーションのサポートが実現しつつあるとしている。

属性・地域別の分析について、製品・サービス別にみるとウェブベースのシミュレーションで大きな成長が見込まれる。地域別では、北米が市場をリードしており、慢性疾患の増加や技術の進歩が市場の成長を支えていると分析している。

レポートでは、モデルベースシミュレーション、患者シミュレーション、タスクトレーナーシミュレーション、マネキンをベースのシミュレーションといった製品・サービス別の調査結果のほか、技術別(3Dプリンティング、リハーサル技術バーチャル、患者シミュレーション)、エンドユーザー別(軍事組織、学術機関、病院、研究機関、その他)のデータを扱っている。