急性期病院の9割で看護記録の作成・管理にICT導入、エス・エム・エスが看護師約1万人に調査
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エス・エム・エス(東京・港区)は5月21日、全国の看護師9304人に対象にした「看護師の働き方に関する意識調査」の調査結果を発表した。調査は2021年から開始し、今回で4回目となる。それによると、急性期病院の9割で看護記録の作成や管理にICTを導入していることが分かった。また、半数以上の人が現在の職場に満足していることが明らかになった。
看護師の職場満足度は62.4%で、半数以上を占めた。経年での比較では全体の満足感には大きな変化はないが、施設形態別ではクリニック、訪問看護ステーション、介護施設の満足度が上昇傾向にある。

また、多くの看護現場でICT化が進んでおり、一部手書きの併用はあるが、急性期病院の97.7%で看護記録の作成・管理に電子カルテなどのICTを導入していることが分かった。訪問看護ステーション(93.8%)、美容クリニック(91.8%)、回復期病院(91.3%)でも高い導入率を示した。

手書きの看護記録については、「紙のカルテや書類の保管場所が多く、整理が大変」(52.8%)、「看護記録の作成に時間がかかる」(48.6%)、「事務作業や書類作成業務が多い」(45.4%%)といったネガティブな意見が多く、「ネガティブに感じたことはない」という回答は13.8%と少数だった。


一方、ICT導入についてポジティブに感じたことでは「情報を共有しやすい」(82.5%)、「カルテの管理が楽になる」(62.1%)、「事務作業時間の短縮になる」(57.8%)が上位を占めていた。一方で、「ICT機器にトラブルやエラーが発生し、対応に時間がかかる」(46.3%)というネガティブに感じたことも挙げられており、ネガティブな意見がないのは4人に1人程度にとどまっている。
看護師が職場で求めるサポートとしては、「ハラスメントに関する相談窓口(外部)」(31.5%)が最も多く、次いで「メンタルヘルスケアに関する相談窓口(外部)」(27.8%)、「健康に関する相談窓口」(20.2%)、「キャリアに関する相談窓口(外部)」(19.8%)となっており、内部よりも外部からのサポートを必要としていることがわかった。
キャリアプランについては、「明確なキャリアプランはない」(50.6%)の回答が最も多く、「キャリアプランについて考えたことはない」(17.1%)も昨年と同程度の割合だった。
全体としてキャリアプランをイメージできていない層が多い中、「ジェネラリストとして勤務したい(現場の第一線として働き続けたい)」と回答した割合が微増しており、現状維持を志向する傾向がやや強まっていることが伺える。