AIの信頼度、医療従事者は7割超、患者は3割にとどまる フィリップス調査

フィリップス・ジャパン(東京・港区)は7月28日、日本の医療従事者と患者のAI(人工知能)に対する信頼についてまとめた調査レポート「Future Health Index 2025-Building trust in healthcare AI-Perspectives from patients and professionals(FHI2025)」の日本版を発表した。それによると、日本の医療従事者の75%が、AIと予測分析で早期介入が可能になり命が救えると回答しており、AIへの信頼度が高いことが分かった。

医療従事者のAIに対する安心感と信頼のギャップ
医療従事者のAIに対する安心感と信頼のギャップ

調査では、医療従事者の60%がAIで患者の転帰が改善される可能性があると楽観的に捉えていることも明らかになった。一方で、患者のAIへの信頼は低く、患者の中でAIが医療を改善できると考えている人は33%にとどまった。世界平均の59%を大きく下回っており、医療従事者と患者との間でAIの信頼度に大きな差があることが浮き彫りとなった。

医療従事者が考えるAIの前向きな影響
医療従事者が考えるAIの前向きな影響

医療従事者の負担については、日本の医療従事者の約22%が、5年前と比べて患者と過ごす時間が減り、事務作業に費やす時間が増えたと回答した。さらに、約65%がデータアクセスの問題で1回の勤務シフトあたりの診療時間を失っており、そのうち5人に1人以上が、1シフトあたり45分以上の診療時間を失っていると答えた。

フィリップスでは、AI導入の緊急性にも言及。自然災害の多い日本では、AIを活用した災害時のトリアージやリソース配分の最適化も注目されており、AI導入が遅れることで「時間の損失」「早期介入の機会損失」「ケアの質の低下」などのリスクがあり、導入の加速が求められていると指摘している。

また、調査でAIに対する医療従事者と患者の信頼に大きなギャップがあることが明らかになったことから、ギャップを埋めるには、医療従事者の丁寧な説明や、AIの安全性・有効性に関する透明性の確保、法的責任の明確化、データセキュリティーの強化などが必要と提言している。今回の調査では、特にAIに詳しい患者ほど、より高いレベルの説明責任と安全性を求める傾向があることがみられた。

FHI2025は、世界16カ国の医療従事者の1900人以上と患者の1万6000人以上を対象に、2024年12月から2025年4月にかけて実施された。レポートの公表は今回が10回目となる。