ディリーバ、AI搭載の手術映像認識プログラム医療機器が薬事承認を取得 実用化へ

プログラム医療機器(SaMD)開発のDireava(ディリーバ、東京・千代田区)は12月25日、AI(人工知能)搭載の手術映像認識プログラム「キノスラ」が、12月9日付で製造販売承認を取得したと発表した。

「キノスラ」はロボット支援食道悪性腫瘍切除術用の手術映像認識プログラム。AIが手術映像内の左右反回神経をリアルタイムで検出し、強調表示することで、医師の認識を補助する。性能試験では、左右の反回神経の強調表示で検出感度96%(左)、84%(右)を確認した。

「キノスラ」の強調表示機能と牽引表示機能のイメージ

米インテュイティブサージカルの手術支援ロボット「ダビンチXi」と併用時に反回神経に過度な牽引が生じている可能性を表示する牽引表示機能も搭載する。術者が早期に手技を見直すきっかけを提供し、反回神経麻痺の予防につながる可能性があるとしている。性能試験では、左反回神経の牽引表示で検出感度74.4%を確かめた。

ディリーバによると、外科手術で重要な解剖構造に関連する合併症は、術後の麻痺や機能障害といった経過につながることがあり、なかでも食道がん手術は、発声や嚥下機能を司る反回神経に関連した合併症が、嚥下障害や誤嚥性肺炎を招き、患者の生活の質に長期的な影響を及ぼすという。

そのため、手術中に反回神経を的確に把握し、周囲組織の状態に配慮しながら手術操作を行うことは、食道外科手術の安全性と治療の質を高める上で極めて重要な要素としている。一方で、炎症や癒着などで術野の視認性が低下する状況では、熟練した外科医でも常に高い集中力と慎重な判断が求められるという課題があった。

同社は今後、事業化に向けた最終準備を進める。同時に、対象術式の安全性向上と、ユーザーからのフィードバックを受けた機能拡充に取り組む。さらに、ソフトウエアのプラットフォームを生かした外科領域への応用拡大も目指す。