MeDiCU、医療データの基準形式統一技術で特許取得

医療のRWD(リアルワールドデータ)基盤運営のMeDiCU(メディキュー、大阪市)は12月23日、医療データの基準形式統一技術で特許を取得したと発表した。

特許を取得したのは、病院や機器ごとに形式が異なる医療データを機械学習に適した「基準形式」に統一し、急変予測AI(人工知能)の学習と運用を両立させる実装基盤技術。

メディキューによると、医療AI開発では構造化された大規模な医療データが必要不可欠な一方で、実際のデータは病院や機器ごとで大きく形式が異なり、統一された形式のデータで保存されていないことが課題になっているという。

同社は、この課題解決で医療データを3つの基準形式に統一。年齢や性別などの患者基本情報は「静的形式」、バイタル・検査値・内服・注射など時点の測定・診療情報は「点時系列形式」、点滴投与や人工呼吸器設定など開始時刻と終了時刻で定義される診療情報は「区間時系列形式」に正規化することで、施設や機器が異なってもAIの学習で利用可能なデータに変換を可能にした。

また、AI学習時に医学的な文脈が失われることを防ぐため、構造化データで臨床現場の診療を再現。「静的形式」は診療中に変わらない情報、「点時系列形式」で、測定項目と測定結果、測定時刻の情報を、それぞれ保有することで、バイタルサインや一時点の治療介入を再現した。「区間時系列形式」では、輸液の投与速度や人工呼吸器の設定値などの診療情報と、開始・終了時刻を保持することで、区間にまたがる処置の再現性を確保した。
さらに、統一した医療データを教師データとして、患者の急変パターンなどを学習した予測モデルを開発、臨床現場で運用する。対象の急変は、ICU(集中治療室)の再入室、呼吸状態・循環動態の変化、播種(はしゅ)性血管内凝固などの臓器障害、切迫心停止・心停止などの重篤なイベントが含まれる。

メディキューでは2025度中に、国内の複数医療機関でアルファ版の導入を開始。電子カルテや生体情報と連携した運用を確立し、同社が持つ予測アルゴリズの特許をもとにした急変予測AIを展開する。AIは導入した現場から継続的に匿名化データをフィードバックしてもらうことで、予測性能と説明性を段階的に改良する。

そのほか。特許技術を運営するRWDプラットホーム「OneICU」の基盤にも活用することで、標準化された医療データを活用したRWD研を加速し、医療機器メーカーやデータベースベンダーとのパートナーシップにも取り組む。