ゼロハーム、名大病院が開発したインシデントレポートシステムを商用化、2026年に発売
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名古屋大学発ベンチャーのゼロハーム(名古屋市)は12月17日、名古屋大学医学部附属病院が開発したインシデントレポート(ヒヤリ・ハットや医療事故の報告)システムを商用化し、「Zeroharm(ゼロハーム)」の名称で2026年に発売すると発表した。
システムは、名大病院患者安全推進部の長尾能雅教授らの研究グループが開発した。名大病院が持つ膨大なインシデントレポートのテキストデータをAI(人工知能)の機械学習で分析し、ある医療者集団が、医療行為そのものや不十分な確認行動などで患者に生じさせた疾病の「重症度」や「過失性の程度」を数値化した。分析結果は、同院で患者安全の専門家がチェックしたデータと比較しても高い相関を示した。
レポートは平均6分で出力が可能。匿名でも作成できる。数万件のデータを数秒で検索でき、グラフ化も簡単に行えるほか、部署や診療科に加え、「転倒転落」「患者誤認」などインシデント分類ごとのリスクをAIで算出し、推移を可視化できる。
ゼロハームでは、商用化により、名大病院が蓄積してきた12万件のデータを基にしたAIシステムを、他病院でも利用できるようになる。全国の病院で医療事故防止や患者の安全確保に役立つとしている。同社では発売に先駆けて20施設限定で「Zeroharm β版」無償先行利用プランの提供も開始した。