富士フイルム、AIが肝臓手術の内部構造把握を支援する2種類の技術を開発
掲載日:
富士フイルムは12月10日、外科手術中の肝臓内部構造の把握をAI(人工知能)が支援する「肝臓3D画像連動AI技術」と「超音波画像重畳AI技術」の2つの技術を開発したと発表した。
「肝臓3D画像連動AI技術」は、内視鏡映像内の肝臓に合わせて、手術前に作成した肝臓の3D画像を同じ向きに自動で回転させ、同一モニター上で参照可能にすることで、肝臓の表面から観察が難しい肝臓内部の血管構造や腫瘍の位置などの把握を支援する。

一方、「超音波画像重畳AI技術」は、腹腔(ふくくう)鏡手術やロボット支援の手術時に行われる術中超音波検査で、腹腔鏡やロボットの内視鏡映像内の超音波プローブ位置や方向を解析し、超音波画像を内視鏡映像上に重畳表示することで、医師の直感的な超音波画像の理解をサポートする。

肝臓がんの切除手術では、医師は手術前にCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)などの画像から肝臓の立体的な構造を再現し、手術のシミュレーションを行う。手術中に、医師は手術台から離れたPCで事前に作成したシミュレーション画像を見ているため、手術の場で簡単に画像を確認できる方法が求められているという。
また、増加傾向にある腹腔鏡やロボットが支援する手術では、術中超音波検査が行われているが、医師は内視鏡映像と超音波画像を別々の画面で確認し、両画像を頭の中で統合しながらプローブを走査している。そのため手術中に超音波プローブの走査や画像の確認をより簡便に行える技術が必要とされていた。
富士フイルムが開発した「肝臓3D画像連動AI技術」は、簡便に3D画像を確認できるようになるため、手術中の3D画像操作の手間を削減できる。また、「超音波画像重畳AI技術」は、同社のAR(拡張現実)マーカー付き超音波プローブと組み合わせることで、術中に超音波検査の画像理解の支援が可能になる。同社は今後、2の技術を搭載したソフトウエアを早期に発売するとしている。