長崎大病院、プラスマンの胸部CT画像診断支援AIを臨床研究、使用時の肺結節検出感度41%向上を確認
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長崎大学病院は11月14日、AI(人工知能)画像診断支援事業を手掛けるプラスマン(東京・千代田区)の胸部CT(コンピューター断層撮影装置)画像のAI診断支援ソフトウエア「Plus.Lung.Nodule(プラスラングノジュール) AIシステム」の精度を確かめる臨床研究の結果を発表した。
「Plus.Lung.Nodule」は、画像診断専門医による胸部CT画像の読影を支援するプログラム医療機器。画像のCT値に基づいて、円形や紡錘(ぼうすい)形、辺縁不整を注目すべき関心領域として表示することで、肺結節や縦隔、肺門リンパ節といった、病気の可能性がある影や、重要な臓器で部位の視認性向上を図れる。
「Plus.Lung.Nodule」は医療画像情報に対する読影効率の向上と、読影の質の向上を目的に開発され、精度の高い診断と読影業務の負担軽減に寄与するとされている。
今回の臨床研究では、75例の低線量CT画像(結節あり61例・196結節、結節なし14例)を9名の読影医(専門医4名、非専門医5名)が評価した。
その結果、症例ごとが87.8%から93.8%、結節ごとは52.3%から73.8%と、AI使用時に全ての読影医の肺結節検出感度が有意に向上し、特異度が維持されることが示された。また、特に注目すべき知見として、AIの支援を受けた非専門医の症例ごと感度(93.4%)が、AI未使用の専門医(91%)を上回った。
研究では、実臨床への実装を見据えて医師が単独読影後、AIで見落とし確認する「セカンドリーダー型」と、AIを参照しながら診断する「コンカレントリーダー型」のAI統合方法でも評価。その結果、両方の方法で診断精度が向上し、いずれも臨床現場で有効であることを確認した。
「コンカレントリーダー型」は、「セカンドリーダー型」と比較し、効率的で、特に経験の少ない医師で高い感度向上効果を示したという。一方、経験豊富な放射線科医はいずれの方法でも同等の高い診断能を達成した。
研究は長崎大学病院の研究チームが実施し、2025年の日本肺癌学会学術集会で発表された。芦澤和人・長崎大学大学院医歯薬学総合研究科臨床腫瘍学分野教授・長崎大学病院 がん診療センター長は、今回の結果について「低線量CTによる肺がん検診の普及が進むなか、今回の研究はAI支援が実用的なツールとなる可能性を示す重要なエビデンスと考えられる」と話している。