アナウト、兵庫医科大病院と虎の門病院がAI視覚支援手術を実施

手術支援ソフトウエアを開発のアナウト(東京・千代田区)は7月29日、AI(人工知能)を活用した医師の視覚を支援する手術用画像認識支援プログラム「Eureka α(ユーリカアルファ)」を、兵庫医科大学病院(兵庫・西宮市)と虎の門病院(東京・港区)が7月上旬に使用し、AI視覚支援下での手術を実施したと発表した。

「Eureka α」は手術用の内視鏡システムや手術支援ロボットから受けた映像信号を解析し、術者が通常確認するモニターとは異なるサブモニター上に疎性結合組織をリアルタイムに強調表示することで外科医の視覚認識を支援するプログラム医療機器。

疎性結合組織は臓器と臓器の間に存在する繊維状の構造物で、がんなどの手術における切除ラインの目印になる。熟練医は適切な緊張をかけることで、疎性結合組織を露出しながら手術を進める。アナウトによると、この疎性結合組織を露出し、剥離していく手技は世界で共通だが、日本では特に発展しており、「Eureka α」は繊細な手術を行う日本だからこそ開発できたシステムとしている。

Eureka α
Eureka α(ユーリカアルファ)

また、臨床使用を行った胃がんや大腸がんの外科医は、「『Eureka α』は、術者を支援するのに十分な精度があり、外科現場で術者の視覚や認識を強くサポートし、外科医の教育にも有用で手術室内の外科医の強いパートナーとなりうる」と評価したという。

兵庫医科大病院での手術の様子
兵庫医科大病院での手術の様子
虎の門病院での手術の様子
虎の門病院での手術の様子

アナウトは外科医複数名、エンジニア、事業のエキスパートによって2020年7月に設立。これまでに20以上の高度医療機関と共同研究を実施し、人工知能技術を始めとする工学技術と外科医療を融合する製品を開発している。「Eureka α」は2024年4月12日に厚生労働省より製造販売承認を受けており、今回の2病院での実績を踏まえ、7月17日から販売を始めている。