富士フイルム、AIが間質性肺疾患の診断支援する解析ソフト発売

富士フイルムは7月2日、胸部CT(コンピューター断層撮影装置)の画像から間質性肺疾患の診断を支援するソフトウエア「間質性肺疾患解析ソフトウェア」を7月3日から発売すると発表した。

「間質性肺疾患解析ソフトウェア」は胸部CT画像から、異常所見が疑われる領域を性状ごとに分類し、それぞれの大きさを算出することで、間質性肺疾患の診断を支援するソフト。間質性肺疾患の種類を特定する上で重要な性状の識別や、疾患の進行状況の直感的な把握を支援する。

ソフトは、胸部CT画像から肺の肺野、血管、気管支という解剖学的構造を識別した上で、画像特徴パターンに基づいて、正常、すりガラス影、網状影、コンソリデーション、蜂巣肺、透過性亢進(こうしん)肺といった性状を自動で分類し、同時にそれぞれの大きさや割合を自動的に算出する。

また、異常所見の分布を詳細に確認できるよう、肺野を肺葉ごとに分割し、それぞれの領域で異常所見の大きさや割合を表示する。さらに、同一患者の過去の検査画像と現在の検査画像を並べ、性状別や領域別のデータを切り替えながらグラフ表示することで、進行状態を確認できる機能も備える。

間質性肺疾患は、肺が酸素と二酸化炭素を交換する肺胞とその支持組織である間質に炎症や損傷が生じ、肺胞壁が厚く硬くなる(線維化する)病気の総称。関節リウマチなどの膠原(こうげん)病を伴うものから、原因が特定できない特発性のものまで多岐にわたり、中には非常に予後の悪い指定難病である特発性肺線維症も含まれている。呼吸不全や肺高血圧症など重篤な合併症を引き起こすリスクがあるため、早期の発見と適切な治療が非常に重要だが、正確な診断は非常に困難とされている。

富士フイルムは、この課題解決で、2019年に京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学と間質性肺疾患の性状を分類し、大きさを算出する技術を開発した。現在は実用化に向け有効性の検証を進めてきた。

同社によると、近年、特発性肺線維症など進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対して、線維化のスピードを抑える抗線維化薬が使用されているという。その際には、病変の大きさが抗線維化薬を投与する判断の基準となる疾患もあることから、ソフトの計測結果が投薬判断の手助けになるとも見込んでいる。

ソフトは3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT(シナプス ヴィンセント)」で間質性肺疾患が疑われる領域の解析結果を参照できるアプリケーションとして、富士フイルムメディカル(東京・港区)が販売する。