NTT、新潟学と遠隔触診技術の共同研究を開始

NTTは6月30日、新潟大学と、遠隔触診の実現に向けた共同研究を2026年3月31日まで実施すると発表した。対面で行われている触診の手指の使い方や押し具合、判断の流れの所作をデジタル化する要素を解明し、触れた患部の柔らかさの取得や再現をする手法の確立する。研究を通じて医師不足と医師の偏在の解決につなげる。

研究では、下肢浮腫(ふしゅ)の触診所作に焦点を当て、坂井さゆり・新潟大学医学部保健学科教授とNTTが共同で、模擬患者を対象に医療従事者の触診をセンサーや機器に記録し、手や指の動き、押し具合という触診実施のポイントとなる特徴的な所作を分析し解明する。

共同研究の内容
共同研究の内容

また、デジタル化した所作を遠隔地へ適切に伝達するための機械化や自動化を最小限にとどめ、医療従事者が直接触診を行う方法を生かすことで、コストや患者の心理的負担に配慮したアプローチも検討する。

さらに、NTTが検討してきた人の手で触診した患部の柔らかさを取得する手法や、押し込み時の抵抗感を変化させるピンをアレイ状に並べることで触感を再現する独自開発のデバイスで取得した患部の柔らかさを遠隔地で再現する手法を、医療現場の意見を取り入れながら、有用性を評価し精度向上に取り組む。

今後は、遠隔触診技術の確立を目指し、手法の精度を向上すると共に、グループ会社を加えた実証実験を通じて現場での運用可能性を検証する。同時に、センサーや機器の医療機器認定などを段階的に進めながら、技術の社会実装を進める。