医療MaaS、2025年の市場規模17.6億円、35年に172億円まで拡大 シード・プランニング調査

シード・プランニングは5月16日、国内の医療MaaS(次世代移動サービス)の市場規模などについての調査結果を発表した。それによると、2025年時点の国内市場は17.6億円で、2035年には約172億円まで市場が拡大する。

医療MaaSを4つの分類で調査
医療MaaSを4つの分類で調査

調査は自治体関係者、医療関係者、企業関係者を対象にヒアリング調査や文献調査の結果から、医療MaaSサービス市場を「(車両を活用した)オンライン診療」「(車両を活用した)ヘルスチェック」「通院支援」「(ドローンなどを活用した)医薬品配送」の4つのサービスごとに分類して行った。

医療MaaSの市場規模推移
医療MaaSの市場規模推移

その上で、市場規模は、今後の高齢化や過疎化の進行、医療MaaSの規制緩和などから、関連事業が増加し、2035年時点でオンライン診療が約68億円、ヘルスチェックは約36億円、通院支援は約28億円、医薬品配送は約40億円まで伸長すると予想。医療MaaSサービス全体で2035年時点で約172億円まで市場が拡大すると予測した。

「医療MaaS」は、車両を活用したオンライン診療や、デマンド交通システムを使用した通院サポートなど、MaaSと医療を掛け合わせた取り組みを指す。免許返納や公共交通の不足など移動に課題を抱えている人々の健康を維持や促進する手段として注目を集めている。

医療MaaSは、オンライン診療システムやデマンド交通システムのほかに、自動運転やドローンなど、最新のテクノロジーが活用され、多くの企業・団体が参画している。関心を持つ自治体も年々増加傾向にあり、実証実験を経て実装に移る事例が増える中、政府は医療MaaSに関連する方針を示すなど、取り組みを後押しする動きを活発化させている。

シード・プランニングでは、こうした動向を踏まえ、医療MaaSに取り組む企業関係者、自治体関係者、医療機関関係者にヒアリング調査を実施し、国内で実施されている、さまざまな医療MaaSの事例を紹介するとともに、国土交通省や経済産業省などの公開資料を整理することで現状や課題、動向を分析したとしている。