兵庫県病院局、県立病院運営で請求書などの業務効率化クラウドサービス導入

兵庫県病院局のサービス導入担当者

バックオフィス向けSaaSサービス開発のLayerX(レイヤーエックス、東京・中央区)は5月15日、県立病院を運営する兵庫県病院局が請求書や稟議(りんぎ)などの業務を効率化するクラウドサービス「バクラク」を導入したと発表した。

「バクラク」は、稟議、経費精算、法人カード、請求書受取、請求書発行、勤怠管理などの業務を効率化するクラウドサービス。今回、兵庫県病院局ではクラウド請求書受領ソフト「バクラク請求書受取」を導入した。請求書特化のAI-OCR(光学式文字読み取り装置)と会計ソフトと連携し手入力ゼロで請求書処理ができる。仕訳や振込のデータも自動で生成。電子帳簿保存法、インボイス制度にも対応する。

兵庫県病院局は、尼崎総合医療センター、西宮病院など13病院1診療所を運営しており、紙運用による課題を多く抱えていた。そこで、働き方改革を目指し、ICT(情報通信技術)を活用した業務改革を推進する県の方針を背景に、病院のバックオフィス業務を効率化する手段で、バクラクを採用した。

導入前の病院のバックオフィス業務は紙書類中心で運用されており、請求書処理は郵送や手渡しで行われていた。また、病院ごとに薬品や診療材料、食材の仕入れ、外部委託業務などの請求書を1件ずつ手入力していたため、仕訳、ファイリング、保管の手間がかかり、業務工数を圧迫していた。

兵庫県立こども病院では紙の請求書が棚を圧迫していた
兵庫県立こども病院では紙の請求書が棚を圧迫していた

兵庫県病院局が運営する「兵庫県立こども病院」の場合、1カ月で本棚1段分、半年で棚一つが埋まるほどの紙の請求書が発生しており、保管場所の確保も課題となっていた。

しかし、「バクラク」の導入で、請求書をスキャンするだけでAI-OCRで情報が自動入力されるため、手入力を削減できた。また、バクラクで請求書データを管理することで、書類の検索性も向上した。同院では導入から約4カ月で、3000件以上の請求書をバクラクで処理している。兵庫県病院局は、この成果を踏まえ、今後は県立病院と診療所の11拠点にサービスの展開も進める。

一方、兵庫県病院局経営課と県立病院の経理課では、公営企業会計システム「SOFIA(ソフィア)」で、複式簿記で仕訳を行っているが、本庁(単式簿記)と病院局・病院(複式簿記)で仕訳方式が異なるため、異動してきた職員の学習コストが課題となっていた。

今回、「バクラク」と「SOFIA」が連携されたことで、事業者名を会計システム上の登録名や番号とのひも付けと、過去の取引履歴からAIが仕訳候補を提示することが可能になった。そのため、仕訳作業の効率化、職員の学習コストの低減が見込めるという。兵庫県病院局では、将来的に電子決裁システムとの併用を進め、紙での受領をゼロにして、メールでのやり取りと電子決裁での完全な電子化を視野に入れている。