恵寿総合病院、RPAツール「BizRobo!」で、年間1万2000時間の業務削減

オープングループ子会社のオープン(東京・港区)は5月8日、恵寿総合病院(石川・七尾市)が、同社のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツール「BizRobo!(ビズロボ)」を活用し、人手不足の解消と年間1万2000時間の業務削減を達成したと発表した。

「BizRobo!」は、パソコン上の事務作業を自動化するRPAツール。恵寿総合病院は人口減少に伴う人手不足が大きな経営課題となっており、医療の質の維持と向上の一手で、オンプレミス型の「BizRobo! Lite+」を、2021年に導入した。

ロボット開発はデータセンターや情報部門などで構成するチームが担当し、看護師、メディカルスタッフ、事務職員などが本来の業務と兼任する形で対応する。具体的には、法人内の各部門からロボット開発チームに対し作成申請を挙げる形で定型業務を集め、チーム内での検討を経て、RPAで効率化ができると判断した場合にロボットの開発に着手する。

現在、130体以上のロボットが稼働。電子カルテ情報をからExcel上の病室マップに発熱患者の位置を表示する「入院患者の発熱状況を自動把握するロボット」や、医師に退院サマリー未記載患者リストを通知し、記載を督促する「退院サマリーの記載を医師に督促するロボット」などでRPAを利用する。

「入院患者の発熱状況を自動把握するロボット」と「退院サマリーの記載を医師に督促するロボット」の概要と効果
「入院患者の発熱状況を自動把握するロボット」と「退院サマリーの記載を医師に督促するロボット」の概要と効果

「入院患者の発熱状況を自動把握するロボット」では、電子カルテから収集した入院患者の発熱状況を「BizRobo!」が、Excel(エクセル)のデータベースに落とし込み、Excel上の病室マップに発熱患者の位置を表示。この情報を朝、昼、夜、深夜の1日4回自動更新し、医師や看護師が常に最新の状況を確認できるようにすることで、必要に応じた素早い処置を可能にした。

また、「退院サマリーの記載を医師に督促するロボット」では、電子カルテのデータから退院サマリーを記載していない医師と対象の患者名を「BizRobo!」が抽出し、医師ごとの退院サマリー未記載患者リストを印刷したり、メールを送付したりして医師に通知し、記載を督促。退院サマリーを管理する手間の削減と、期限内の記載率を向上させた。

恵寿総合病院では、そのほかにも「退院支援計画書作成ロボット」や「画像レポート重要所見の見落としを監視するロボット」、「病床稼働率モニター表示ロボット」などが稼働する。

一方で、同時稼働できるロボットは4体までという使用するライセンスの制約があるため、制作したロボットは管理台帳に登録し、必要なタイミングで自動的に作動するように24時間のスケジュールを作成。RPAの活用と運用体制の最適化によって、年間で1万2000時間の業務時間を削減した。同時に、医療の質と収益の向上にもつながったという。

同院では今後、RPAで業務改善をさらに推進する考え。また、RPAと生成AI(人工知能)を連携し、生成AIに判断させる前作業をRPAで自動化することで、医療従事者にしかできない仕事以外の作業を任せ、医療に専念できる環境を整備する。