チャットで会議のムダを削減・効率化
板倉病院の病院専用スマホ活用術

板倉病院(千葉・船橋市)

長らく病院の通信手段で利用されてきたPHS。有識者や総務省などが参加する電波環境協議会の調査によると、PHSを利用する病院は現在も約8割に上る(2023年1~2月)。しかし、PHSの公衆網は2021年1月に停波。現在は、多くの病院が院内にアンテナを設置し内線で利用する状況という。端末代や修理代も高騰しており、医療機関はPHSの移行が迫られている。

こうしたなか、千葉県船橋市の板倉病院は、PHSに代わる通信機器でスマートフォン(スマホ)を2020年6月から導入した。板倉病院は、内科、外科、整形外科などの診療科を設置する地域密着の都市型中規模病院だ。病床数は91床。機能強化型在宅療養支援病院と救急告示病院の機能も持つ。

なぜ、板倉病院は、いち早くスマホ導入に踏み切ったのか。その背景には、業務効率向上を狙ったデジタルツール活用術がある。(取材:医療テックニュース編集部)

「メドコム」のスマートフォン。板倉病院では、京セラ製のアンドロイド端末「DIGNO(ディグノ)」を使用している
「メドコム」のスマートフォン。板倉病院では、京セラ製のアンドロイド端末「DIGNO(ディグノ)」を使用している

板倉病院が導入したのは、メドコム(東京・港区)の医療機関専用スマホ「メドコム」だ。端末は、通話やチャット、ナースコール、カメラなどの機能を搭載。オプションで電子カルテ閲覧機能も提供する。通信は専用回線を利用することで不正アクセスを防ぐセキュリティー機能を高めた。

PHS停波をきっかけにスマホを導入

「きっかけはPHSの停波。PHSがなくなるため、ほかのツールを考えようなったのが出発点だった」。梶原崇弘・板倉病院理事長兼院長は、導入理由をこう説明する。また、「スマホは、アプリなどでさまざまな機能を利用できる強みがある。電話だけのPHS…