F.MED、「微小外科」手術支援ロボットがNEDOのスタートアップ支援事業で採択

F.MEDが開発する「マイクロサージャリー支援ロボット」

手術支援ロボットを開発のF.MED(福岡市)は9月12日、「マイクロサージャリー(微小外科)」の手術支援ロボットが、新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)の「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)」に採択されたと発表した。

「DTSU」は、リスクは高いが国や世界全体で対処すべき経済社会課題解決に貢献できる技術を開発する一方で、技術の確立や事業化までに長期の研究開発と大規模な資金が必要なスタートアップが対象の助成事業。実用化に向けた研究開発や量産化実証、海外技術実証などを支援する。

「マイクロサージャリー」は、顕微鏡を使い、直径1mm未満の血管や神経などを手作業で縫ってつないだり、腫瘍を摘出したりする手術。がん治療の後遺症であるリンパ浮腫(むくみ)の治療や、がん手術や事故による体の欠損を移植で治す、詰まりそうな血管を回避するための迂回(うかい)路(バイパス)を作成するなど、生活の質(QOL)や予後を改善する手術に活用できる。

一方で、細かな作業をする際に生理現象で発生する手振れを制御しつつ、ごく繊細な器具操作を習得することが非常に難しく、現状では実施できる医師が限られている。また、既存の手術支援用ロボットもマイクロサージャリーの細かな作業には対応できていないという。

F.MEDは、こうした課題解決で、リニアモーターで駆動する微細作業用マニピュレーターを搭載した「マイクロサージャリー支援ロボット」を開発。ロボットは医師が操作し、微細作業用マニピュレーターが、その操作を20分の1程度まで縮小することで、手振れを制御し、医師の作業を忠実に再現し手術を行う。そのため、マイクロサージャリーの極微細な器具操作が容易になると共に、習得に必要な年単位の訓練期間の短縮が見込めるという。

同社では今後、採択された補助金を活用しロボットの開発を進め、早期に医療機器の承認取得を完了し、実用化を目指す。また、手術の安全性や有効性をより高めるロボットの付加機能開発にも取り組む計画。